空室を早く埋めて家賃収入を戻したい。でも、家賃を下げる提案と、家賃を維持して最初の1か月を無料にする提案のどちらがよいのでしょう。
同じ時期に入居し、同じ期間住むなら、短い期間と長い期間で答えが逆転することがあります。さらに募集期間が違えば、その逆転地点も動きます。管理会社へ相談する前に、比較の土台を作りましょう。
家賃8万円を、2つの案で並べる
以下は実績や相場ではなく、当サイト作成の架空例です。A案は月額を7万7000円へ下げる。B案は月額8万円のまま、最初の1か月の賃料を無料にする。両案とも入居日は同じで、その後は途中解約も滞納もない条件です。共益費・広告料・管理料・税金などはまだ含めません。
| 期間 | A:月3000円値下げ | B:1か月無料 |
|---|---|---|
| 12か月 | 92万4000円 | 88万円 |
| 24か月 | 184万8000円 | 184万円 |
| 36か月 | 277万2000円 | 280万円 |
12か月ではAが4万4000円多く、36か月ではBが2万8000円多くなります。毎月3000円の減額が積み重なり、最初の8万円の差を超えるためです。
この条件の境界は8万円÷3000円=約26.7か月。月単位では27か月目からBの累計がAを上回ります。「1か月無料は大きな損」とも「家賃は絶対に下げないほうがよい」とも、この数字だけでは決められません。
入居が1か月遅れるなら、時計をそろえ直す
B案の入居開始だけが1か月遅い場合、募集開始から12か月で比べると、Bは空室1か月と無料1か月があり、賃料が入るのは10か月分の80万円です。Aがすぐ入居する仮定の92万4000円との差は12万4000円へ広がります。
このときBの累計は「8万円×(経過月数−2)」、Aは「7万7000円×経過月数」。同じ状態が続く仮定なら境界は16万円÷3000円=約53.3か月です。これは入居時期を予測した数字ではなく、空室の見込みを省くと比較が変わることを示す計算です。
管理会社に聞きたいのは、値引き額の次
- 各案で、近い条件の募集・成約事例はあるか。募集価格と成約価格を分けて聞く。
- 反響が少ないのか、内見後に決まらないのか。写真・設備・条件のどこに原因の仮説があるか。
- 無料になる範囲は賃料だけか。共益費や初期費用、広告料はどう扱うか。
- 短期解約時の条件や、管理料の計算方法は両案で変わるか。
- いつ結果を見て再検討するか。その間の持ち出しはいくらか。
フリーレントは一定期間の賃料を不要にする条件で、国土交通省の賃貸住宅に関する案内(PDF)にも用語説明があります。実際に何が無料で、どの条件が付くかは個々の提案書・契約でそろえます。
今日作る比較メモ
「比較開始日/入居開始の仮定/12・24・36か月の賃料/追加費用/途中解約の条件/再検討日」を2案で埋めてください。数字がまだ分からない欄は管理会社への質問にします。
賃料が多い案でも、広告料や修繕費を引いた手残りは違います。全体の資金計画は返済後の手残りまで計算する例へ。購入前の物件なら、6つの資料をそろえる記事で、募集条件の仮定を収支表へつなげられます。

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