マンション平均価格が50%上昇。でも1戸も値上がりしていない?数字の読み方

平均価格と個別価格を分けて考えるための、建物の組み合わせを表した説明イラスト 不動産投資の基礎知識

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「平均価格が上がったなら、自分のマンションも高く売れる?」。そう考える前に、平均の中に入っている物件を確かめたいところです。

個々の価格が変わらなくても、高価格帯の取引が増えるだけで平均は上がります。 この記事の50%上昇は、その仕組みを示す架空例です。東京など実際の市場が50%上昇したというニュースではありません。

4,800万円から7,200万円へ変わる、架空の10件

説明を単純にするため、価格が4,000万円のAタイプと、8,000万円のBタイプだけを考えます。各タイプの1戸当たり価格は、前の月も次の月も同じと仮定します。月ごとの成約件数は、合計10件ずつです。

表が画面に収まらないときは横へスクロールできます。キーボードでは表の枠に移動し、左右の矢印キーで動かせます。

架空例:物件タイプと成約件数の内訳
物件のタイプ1戸の価格(両月共通)前の月の成約件数次の月の成約件数
A4,000万円8件2件
B8,000万円2件8件
合計―10件10件

前の月の平均は、(4,000万円×8件+8,000万円×2件)÷10件=4,800万円。

次の月の平均は、(4,000万円×2件+8,000万円×8件)÷10件=7,200万円。

平均は2,400万円増え、前の月に対して50%上昇しました。しかし、AもBも1戸の価格は変わっていません。変わったのは、平均を計算する取引の内訳です。

ここで「自分の4,000万円の物件も50%上がって6,000万円になった」と当てはめると、この例の前提と食い違います。

現実では、価格の変化と取引の内訳が重なる

実際の物件はAとBの2種類に分けられません。地域、築年、広さ、階数、管理状態などが違い、各条件の価格も変わります。

先ほどの例は、平均だけから個々の変化を決められないことを示しています。

平均の上昇を見たときは、「同じような物件の価格が上がった可能性」と「高価格帯の物件が多く取引された可能性」を分けて考えます。集計だけでは区別できない部分は、分からないまま残します。

㎡単価にすれば、条件は全部そろう?

価格を面積で割ると、広さの違いを一つ調整できます。架空の例で、4,000万円・50㎡と、8,000万円・100㎡なら、どちらも80万円/㎡です。

ただし、それで立地や築年、管理状態まで同じになるわけではありません。面積で割った数字を使っても、比較する物件の内訳を確認する必要があります。

また、資料の「平均㎡単価」がどのように計算されているかも確認します。各物件の㎡単価を平均する方法と、価格合計を面積合計で割る方法では、同じ答えにならない場合があります。自分で再計算するときは、その資料の集計方法に合わせます。

同じ2戸でも「平均㎡単価」が変わる計算例

ここも架空例です。3,000万円・30㎡の物件と、6,000万円・100㎡の物件を1戸ずつ考えます。各戸の単価は100万円/㎡と60万円/㎡です。

  • 各戸の単価を同じ重みで平均:(100+60)÷2=80万円/㎡
  • 価格合計を面積合計で割る:(3,000+6,000)÷(30+100)=約69.23万円/㎡

前者は1戸ずつを同じ重みで扱い、後者は面積の大きい物件の単価が強く反映されます。この差は計算ミスではなく、集計方法の違いです。特定の統計がどちらを採用しているかは、この例から決めず資料の注記で確認します。

「最新」の資料でも、対象月を確認する

国土交通省の不動産価格指数ページは、価格動向を指数として公表しています。平均価格と指数を、同じ数字としてつなぎ合わせないようにします。

2026年9月29日の確認時点では、同ページに9月28日付の公表延期のお知らせがありました。算出プログラムの不具合による確認・精査のため、9月30日公表予定の2026年6月・第2四半期分を延期すると案内されています。1〜5月分など、先に延期された対象もあるため、使いたい期間の資料が実際に公表されているかを確認してください。

公開状況は変わるため、引用するときは公表元で再確認してください。

「いま読める最新資料」と「いまの取引を表す資料」には、時点の差があります。見出しの日付だけでなく、数字が対象としている期間を読みます。

自分の物件へ当てはめる前の4つの質問

次は資料を読むための本記事独自の確認表です。

表が画面に収まらないときは横へスクロールできます。キーボードでは表の枠に移動し、左右の矢印キーで動かせます。

平均価格のニュースを読む確認項目
質問確認して残すこと
何を集計した数字か新築か中古か、売出しか成約か、対象地域
いつの数字か対象期間、公表日、確認日、訂正や延期の有無
物件の内訳は近いか広さ、築年、立地など、自分の物件との違い
個別価格の根拠は何か比較事例と、その事例を選んだ理由。不明な条件は未確認と記す

周辺の情報を探す入口には、国土交通省の不動産情報ライブラリがあります。閲覧した事例を、条件が異なる自分の物件の売却価格としてそのまま扱わないことが大切です。

不動産会社から説明を受ける場合も、「相場が上がっています」だけで終えず、「どの地域・時期・条件の事例を、この物件と比べていますか」と聞くと、根拠を整理できます。

投資用物件では、購入価格に加えて賃料や修繕費などの資料も必要です。購入前にそろえる6つの資料で、価格以外の確認項目を整理できます。

平均値は市場を見る入口になります。自分の判断に使うときは、その平均にどんな物件が何件入っているのかまで、説明できる範囲を確かめましょう。

中央値なら、物件の構成の影響を避けられる?

中央値に替えるだけでは解決しません。中央値は価格順に並べた中央の値です。この架空例のように10件なら、5番目と6番目の平均を使います。

  • 前の月:4,000万円が8件、8,000万円が2件。5番目も6番目も4,000万円なので、中央値は4,000万円。
  • 次の月:4,000万円が2件、8,000万円が8件。5番目も6番目も8,000万円なので、中央値は8,000万円。

個々のタイプの価格は変わらないのに、中央値は2倍です。この例でも、変わったのは物件の構成だけです。

平均と中央値を両方見ることはできますが、「中央値だから自分の物件にも当てはまる」とは言えません。説明を求める際は、次のように条件を絞ると比較の前提が明確になります。

対象地域と期間をそろえ、広さ・築年などが近い事例では何件ありますか。その範囲の価格と、今回の物件との違いを教えてください。件数が少ない場合は、そのことも含めて確認したいです。

条件を細かくすれば事例数が少なくなることもあります。少数の事例を市場全体の結論に広げず、比較できない条件を併記して使います。

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